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コミックの実写映画化の明暗を分けるものはなにか~国内と海外の違いを考えてみる~

2017/10/10

 

SHOWです。

 

 久々にブログを書きます。最近は忙しく、あまりブログを更新していませんでした。Twitterは気軽に呟けるのですが、あまり深い内容は記載できないし、ブログは深く内容が記載できますが、まとまった時間がないと書けないのが難点ですね。

 

 さて、今回は最近のコミック実写化に対するお話をしようと思います。と言っても完全に持論ですし、異なる意見をお持ちの方も沢山いらっしゃると思いますので、あくまで素人の一意見として読んで下されば幸いです。

 

<成功と失敗の定義>

 映画において良く「成功した」「失敗した」と表現されることがありますが、何をもって成功・失敗となるのでしょう。個人の感想なら「面白かった」「つまらなかった」という、ある種の感情論に落ち着くはずです。ここで「成功」をあえて定義づけるとしたなら、明確な数字が出る「興行収入」や「動員数」、もしくは世界的に認められた「アカデミー賞等の受賞」ということになるでしょう。

 例えば、ある映画レビューサイトで星5つ中4つ(★★★★☆)となると、「そこそこ面白いのかな~」となりますが、これを根拠に成功・失敗を語ることは出来ないと思います。ですので、ここでは製作費に対してどれだけ高い興行収入を上げられるかが「成功」のポイントだと考えてお話を進めます(当然、他にも沢山の要因があると思いますが)。

 

<日本の実写映画>

 皆さんはコミックの実写化が発表されたとき、どのような感想を抱きますか。個人的に邦画でコミックが実写化されると非難を浴びることが多いような気がします。近年では「進撃の巨人」や「テラフォーマーズ」、「ジョジョの奇妙な冒険」などがネットを中心にボコボコに酷評されていました。もちろん「デスノート」や「るろうに剣心」など映画ファンから称賛をもらえる実写化作品も数多くありますが、それでもガッカリすることの方が多い気がします。

 

<日本で実写化はなぜ多い?>

 ではなぜ叩かれることも多いのに、コミックの実写化が多いのでしょうか。

結論から言えば「儲かるから」です(当たり前と言えば当たり前ですが)。あの酷評された「進撃の巨人」ですら製作費18億円に対して30億円の興行収入を稼ぎ出しています。結果的にみれば成功です。

日本国内でのコミックの実写化は非常にコスパが良く、製作にこぎ着けやすいようです。

 なぜ製作にこぎ着けやすいのか。それはTV局や映画の配給元の決定権を握った人間(いわゆるお偉いさんですね)が「GOサイン」を出しやすいからのようです。原作が何百万部も売れている作品はキャッチコピーも作りやすく、映画成功の可能性が高く見えるのでしょう。逆に言えば原作なしのオリジナル映画を製作しようものなら、三谷幸喜さんレベルの監督・脚本家でないと中々、首を縦には振ってもらえないようです。

 次に原作への使用料です。コミック原作の映画「テルマエ・ロマエ」では興行収入が58億円にも関わらず、作者への使用料は100万円だそうです。70億円を稼いだ「海猿」ですら250万円。興行収入と比べ、とても安いです。このように安価に「映画のネタ」を手に入れられる環境も実写化の増加に影響していると思います。

 さらにそこから、芸能事務所の俳優・女優・アイドルなどのキャストのゴリ押しやお偉いさんからの「原作のままだとつまらないから売れるためにオリジナリティを出せ」など、ファンの中でのいわゆる「不要な改悪」が行われてしまうようです。

 また、マーケットが小さい問題もあります。邦画は国内だけで売れればよいという考えのようです。世界に打って出るような作品はあまりありませんし、そんなことをしなくても上記の進撃の巨人のようにファンの間では駄作と言われてしまう作品でも充分黒字になるので、その必要がないようです。

 そのようなプロセスで製作が進められているため、制作関係者の原作へのリスペクトもほぼ皆無と言っていいでしょう。監督やキャストが原作を読んでいないこともめずらしくないようです。

 日本の実写映画が成功するためにはハリウッド級の製作費が必要だということもあると思いますが、上記のようなプロセスを経て映画を製作しているなら、例えお金が潤沢にあっても上手くいかない気がします。

 

<海外の実写映画 ~マーベル・スタジオを例に挙げて~>

 次に海外での実写化です。近年アメコミ映画の勢いは止まりません。日本で8月に公開したワンダーウーマンスパイダーマン/ホームカミングは世界的に絶賛され大ヒットしました。

 このブログでは度々アメコミを原作とするアメコミ映画を紹介してきました。特にマーベル・スタジオが世に送り出すマーベル・シネマティック・ユニバース(以下MCU)の作品は世界的にヒットし、多くのファンからも称賛されています。

 では、興行的に成功しても駄作とされてしまう邦画との違いはどこにあるのでしょうか。

 まずキャスティングです。邦画では芸能事務所などからのゴリ押しで決まることも多いようですが、アメコミ映画はオーディションで決めることが多いようです。例え著名な俳優であろうと、演じるキャラクターとイメージが合わなければ使いませんし、逆に無名の新人の俳優でも、イメージにピッタリなら採用されます。例えば、現在ロバート・ダウニー・ジュニアさん(以下RDJ)が演じるアイアンマン(トニー・スターク)も「アイアンマン」の撮影前はあのトム・クルーズさんも候補に挙がっていたらしいです。当時(2008年)の知名度トム・クルーズさんの方が高いですし、ドラッグ問題からカムバックしたてのRDJさんより印象も良かったと思います。しかし、マーベル・スタジオはRDJさんを採用しました。監督も中規模の映画を撮っていたジョン・ファブローさんを抜擢しました。大切なのはその人の知名度ではなく「アイアンマン」という映画に必要かどうかだったのです。

 次に原作とファンへのリスペクトです。マーベル・スタジオ社長ケヴィン・ファイギさんは「アイアンマン」を製作中に脚本家達から「原作と同じ内容ではあまりに単純ではないか。オリジナル展開が必要ではないか。」と言われましたが、「いいから、その単純なことをやろう」と原作をほぼストレートに実写化しました。結果は製作費1.40億ドルに対して5.85億ドルの大ヒットでした。この結果を受け、その後のMCU作品も原作を大切に製作されていきました。

 次にマーケットです。アベンジャーズを含むMCU作品はアメリカだけでなく、全世界で公開されます。つまり、アメリカ人にだけ受けるような内容では興行的な成功はできません。人種・宗教・価値観などあらゆる面で、慎重かつ大胆に映画を製作しています。このようなチャレンジ精神も現在のMCUを形作っている魅力と言えるでしょう。

 また、ケヴィン・ファイギ社長はこうも言っています。「コミック映画にかかわるプロデューサー達が誰も原作を読まないのが不思議でしょうがなかった。そのくせ、どうやったらキャラクターを魅力的に見せられるかとか、深みを与えられるかを悩んでいるんだ。僕はそれを尻目にコミックを読みながらこう言いたい『これを読んでみろよ。ここに全部書いてあるぜ』ってね」。また「ハリー・ポッターと賢者の石」の監督クリス・コロンバスさんは「原作に忠実すぎるという意見もあったが、原作を愛しているなら、忠実であるべきだと思う。」と言っています。

 そして、MCUは2016年にシリーズ累計100億ドル(1兆円超)の興行収入を稼ぎ出しました。MCUはたった8年で世界で最も売れた映画シリーズになりました(現在も1位です)。スター・ウォーズや007、ハリー・ポッターシリーズを遥かに上回る実績をわずか8年で成し遂げてしまったのです。ここから学ぶべきは、実写化で大切なのは無理なオリジナリティでなく、むしろ原作に忠実な内容なのではないでしょうか。

 

ケヴィン・ファイギ(左)さんとRDJ(右)さんf:id:marvel-networks:20171010182128p:plain

 

MCUの集大成ともいわれる映画「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」(2018年公開予定)

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<教訓を得られるか>

 これまで散々邦画をディスってアメコミ映画をよいしょしましたが、アメコミ映画も上手くいってばかりではありません。DCの「グリーン・ランタン」やマーベルの「デアデビル(映画)」などは駄作として酷評され、過去の遺物となりました。その他にも鳴かず飛ばずの作品は山ほどあります。

 しかし、過去のキャスティングの失敗を糧として次に活かせる場合もあります。グリーン・ランタンの主人公ハル・ジョーダンを演じたライアン・レイノルズさんはマーベルの大ヒット作「デッド・プール」の主人公デッド・プールに、デアデビル(映画)で主人公マット・マードックを演じたベン・アフレックさんはDCの大ヒット作「バットマンvsスーパーマン」のバットマンになりました。失敗から教訓を得て、次は良いキャスティングになるように考えている気がします。

 日本は組織上、キャスティングに対して改善しにくい体制なので、悪循環にハマったままです(まぁ国内で黒字になっているので良いのかも知れませんが)。

 

ライアン・レイノルズさん 

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ライアン・レイノルズさん演じるデッドプール

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ベン・アフレックさん

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ベン・アフレックさん演じるバットマン

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<最後に>

 いろいろゴチャゴチャと書いてしまいましたが、結局、称賛されている実写映画と酷評されている実写映画の差はどこにあるかを考えると、原作への「愛情と敬意」だと思っています。酷評された邦画のように、ただ「安価に楽して大儲けたい」では真の成功出来ないと思います。もちろん「儲ける」行為は非常に大切ですが、そのためには製作側の関係者が意識を変えていく必要があると考えます。

 

いかがでしたか。

長々と読んでいただき、ありがとうございました。

 

本日はここまで。

ありがとうございました。